この記事を書いた人 / 栗原 伶実
大学・学部 / 産業能率大学 経営学部 現代ビジネス学科 3年
産業能率大学・経営学部/現代ビジネス学科に通う大学3年です。
企業財務論を専攻しているゼミでは、企業研究の為にゼミ内を組織化しており、一人一人役職を与えられます。 地元のイベントに出店するため、十勝の企業2社と合同でマフィン開発を行うことや、日経STOCKリーグやCSVに関するビジネスコンテストに取り組んでいます。 また、夏休みには代々自己啓発プログラムと称し、北海道十勝での長期農業インターンに参加させていただいています。
私の大学がある自由が丘の街はイベントが盛んであり、その度学生は各町内会と連携をとりイベント運営を行っています。 私もボランティアとして参加したり、サークルとして街案内を行うことを通じ、お客様を自分の手で楽しませることにやりがいを感じていました。
地元にはない広大な土地、企業と豊かな自然と市街地の共存という、首都圏では成しえないことができる街が帯広という印象です。 そして今回、初めて体感する冬の北海道。 夏は畑の緑が印象的でしたが、あたり一面雪が積もっていてまさに銀世界でした。 寒さを感じるよりも透き通った空気の清々しさが感じられました。
ゼミ活動の一環として、昨年、夏・秋の長期農業インターンに参加しました。
そこで行われた、十勝で活躍されている農家さんや企業と、私たち学生が対話するというプログラムを経験し、私のキャリアに対する考え方が一変しました。 元々、十勝には引き寄せられる魅力があると感じていましたが、農家さんを取り巻く企業の熱い思いを聞いているうちに、自分がやりたいことはこの中にある!と確信しました。
夏、秋と農家さんと共に働き、短期間ではありましたが深く関わってきた農家さん自身に、十勝の魅力を伝えることが今の私のビジョンです。
インターンを通じて酪農の知識を深め、就職に向け視野を広げたいと考えたため今回参加させていただきました。
今回お世話になった菱中産業株式会社では、農家へ提供できるソリューションの幅が広く、“セールスコンサルタント”としての独自の営業形態が見られるという点で非常に魅力的に感じていました。
インターン初日は、菱中産業で座学を受けました。
企業理念の「Happy people make happy animals.」という菱中産業が持つ動物への想いをより深く理解することができました。菱中産業では、農家さんへの「営業」ではなく「コンサルタント」としての意識を持って取り組んでいるそうです。
中札内方面へ移動し、新札内生産組合、農業組合法人カーフゲートの生産現場視察に同行しました。
ひと言で「酪農家」と言っても、家族経営はもちろん、法人や村営牧場、育成牛舎のみを扱っていたり、外部へ委託するシステムを取り入れている形態もあり、十勝の生産者の形態は様々だということを知りました。
また、365日休みなく働く酪農家にとって、アフターケア的な役割を担う関連企業は、ただ商品を提供するだけでなく、情報の共有者として無くてはならない存在だということです。
「牛を幸せにする前にまず人間が幸せになる必要があり、自動化・省力化で人間の労力を減らし、その分牛に目を向けることができる」という言葉が印象的でした。
2日目は芽室方面へ移動し、鈴木牧場、トヨニシファームの生産現場視察に同行しました。
鈴木牧場は昔ながらの牛舎、対してトヨニシファームは最新式の牛舎。
しかし2件に共通していたのは、とてもオープンな農家だということ。 鈴木牧場の社長は、牛舎の見学は誰であっても拒まないようにしているとのことでした。
私はこれまで(勝手に)、農家さんには閉鎖的な人が多いようなイメージを持っていたため、今回のインターンでそのイメージを覆されました。
トヨニシファームでは6次化に力を入れており、地元で愛される牛を育てているとのことでした。
さらに菱中産業が提供している「GREEN LIGHT」製品をいち早く取り入れ、そこには牛への気遣いがあり、基準は常に“牛にとって一番良いことは何か”ということでした。
その後、林農場の視察に同行しました。
ここで興味深かったのは、酪農家と畑作農家の“自動化”についての考え方の格差でした。
酪農では、「GREEN LIGHT製品」をはじめIT化が進んでいる一方、畑作農家の自動化といえば、GPS付トラクターくらいだそうです。
自動化の導入自体は畑作農家が先であったものの、酪農と比べ自動化するソリューションの幅が限られる為、現在では酪農の自動化の方が進む結果となっているようです。
3日目は、日高方面へ移動し、坂根牧場の生産現場視察に同行しました。
ここでは、牛乳の付加価値についてお話が聞けました。
牛乳の集荷は周辺農家でまとめて行われる為、各農家の乳質は評価されにくいのが現状の様です。 そのため、アニマルウェルフェア畜産認証や6次化など、各農家独自の付加価値をつける取り組みが注目されている様です。
そしてこの地域は、先進的システムを導入している若手経営者が多いことにも驚きました。
最後に施工現場視察に同行しました。
酪農業での問題は、同じものばかりではありません。
例えば地域によって降雪量の違い、地形により特に風が強いなど、それぞれの問題に対応して、はじめて施工したシステムが活かされるそうです。
働こうと思うきっかけは本当に人それぞれだと思います。
私にとって十勝は“自分らしくいられる場所”であり、多くの可能性を秘めているところです。 自己啓発のインターンで十勝に来たこともありますが、東京の大学に通っている自分とは違う、新しい自分を受け入れてくれるような温かみが十勝にはあるように思います。 そこで働く人たちは十勝の魅力を発信しようと色々な試みをしています。 こんなにも熱い想いを持って挑戦し続けている企業が都内には何社あるでしょうか。 都心にはない魅力が、可能性が、十勝には必ずあります。 それをぜひ一緒に考えて、発信できるように頑張りましょう!